アンチエイジングと鍼灸(1)
2007 / 12 / 06 ( Thu )
 アンチエイジングという言葉があります。女性の美容雑誌などではよく目にするものですが、最近では広く使われてきているように思います。
 直訳すると、アンチエイジングは、“反老化”“老化への抵抗”ということでしょうか。アンチエイジングとカタカナで書きますと、新しいことのように思えますが、この考えは古今東西いたるところに存在し、日本や中国で言えば、これは“不老不死”“不老長寿”という言葉に当たるのではないかと思います。始めて中国を統一した秦の始皇帝は、不老不死の秘薬を求めて徐福を日本まで派遣したとも言われていますし、また世界三大美女であるエジプトのクレオパトラもまた、その美貌を維持するために、様々なことをしていたといわれています。このように、アンチエイジングは昔から人間が追い求めてきたものであります。
 このように、“不老長寿”は昔から追い求められているわけですが、その当時から続いている鍼灸医療もまた、その時代の権力者の要請もある中で、現代で言う“アンチエイジング”という考え方が背景にあったけです。

 81の篇に分かれて書かれた『黄帝内経・素問』の一番最初を飾る「上古天真論篇」。この篇は、こんな黄帝の問いかけから始まります。

「余聞上古之人.春秋皆度百歳.而動作不衰.今時之人.年半百而動作皆衰者.時世異耶.人将失之耶.」
(春秋時代を生きた昔の人は、皆100歳まで生きたそうですね。そして、100歳を迎えても動作は衰えることがなかったそうですね。それに比べて今の時代の人は、50歳になると動作が皆衰えています。時世が異なるのでしょうか。人は将に失ってしまったのでしょうか。)
(意訳:源保堂鍼灸院・院長・瀬戸)


 この黄帝の問いかけに対し、この後岐伯という人物が、どうして今の時代の人は、衰えが早いのかを答えていきます。その答えには、「酔ってエッチをして精を消耗するため」「欲が深く心が落ち着かない」「食べ物が過剰である」などが挙げられています。そして、逆にこういったことに気をつけていくと、衰えずに過ごせますよ、と説いています。
 鍼灸・東洋医学の聖典ともいえる『黄帝内経・素問』の一番最初にこのようなことが書かれているということは、紛れもなく、鍼灸医療・東洋医学はアンチエイジングの医学とも言えると思います。
 アンチエイジングという特別な鍼灸が新しくできたのではなく、鍼灸・東洋医学が成立したそのときから、すでにアンチエイジングという考え方は備わっており、それは今もこうして医療として存在し、脈々と受け継がれております。


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