相国寺・若冲展 (1)
2007 / 05 / 25 ( Fri )
 先日四国出張の帰り、京都に寄ってきました。目的は、相国寺で開催されている「若冲展」を観に行くことでした。

 伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)という江戸中期の絵師をご存知でしょうか?私も昨年友達に紹介されるまでは知らなかったのですが、昨年発売された雑誌ブルータスの特集記事を読んで、瞬く間にファンになりました。とても細かく描かれた細密な絵があるかと思えば、とぼけた感じの素朴な水墨画も描いており、そのどちらもが観る者を魅了してやみません。とにかく観ていると、「すごい!」という言葉しか出てきません。色といい、絵の構成といい、江戸時代中期という時代背景を考えれば、まさに異端。ひょっとしたらこの人は宇宙からやってきた宇宙人なのではないかと思ってしまいます。そして不思議なのは、ここまで異様で斬新な世界を築きつつ、若冲の描く世界には、日本画の持つ雰囲気もしっかりと同居しています。

 何が彼をここまで駆り立てたのでしょうか。
 若冲は、相国寺の第百十三世住持の大典禅師(梅荘顕常)を慕い、禅の修業にも励んだそうです。若冲が、自ら描く絵の中に、この禅の思想を込めなかった訳がないと思います。ここまで完璧に、そして周密に描いていくことに、若冲なりの禅的世界観があったのではないでしょうか。

 若冲が40代前半から約10年間の歳月をかけて描いた30幅の「動植綵絵」。高価な絵の具をふんだんに使った作品群です。これらは、明治の廃仏毀釈により相国寺から離れてしまいました。今回、相国寺開基・足利義満の600年忌を記念して30幅の「動植綵絵」が里帰りし、120年ぶりに相国寺蔵・若冲作の釈迦三尊像と再会を果たしました。
 展覧会メインの会場には、釈迦三尊像と30幅の「動植綵絵」が全て並んでいます。これは120年ぶりの奇跡とも言えるのではないでしょうか。まるで昨日完成したかのような色褪せていない若冲の33幅の絵が、一つの会場に集まっている姿は、森羅万象を手中にしてしまったような、そんな壮観な世界になっています。

 お時間がありましたら、是非とも京都まで足を伸ばして、伊藤若冲の世界を堪能してみてください。


【関連情報】
□ 若冲展 釈迦三尊像と動植綵絵120年ぶりの再会
□ 相国寺



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