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薬の多用にはご用心を

 少し長い引用になりますが、ある本の文章を抜粋させていただきます。

僕は現在、新潟大学の名誉教授という肩書きを頂戴しながら、東京にある介護老人保健施設の施設長としても多くの高齢者の医療に携わっています。入所される方は本当にさまざまな病気をお持ちですが、患者さんたちの「お薬手帳」を見ると、愕然とさせられることが度々です。
毎朝の高血圧、高脂血症の治療薬に始まり、寝る前に飲む睡眠薬まで、複数の医師からゆうに10種類以上の薬を処方されている方が少なくないのです。中には20種類薬を飲んでいる人もいます。
そんな状況を目にするたび僕は「これを全部飲んだら病気になってしまう・・・」と考え込んでしまいます。



 この文章は、怪しい代替医療の薬嫌いの先生が書いたものではありません。著者は、新潟大学名誉教授である岡田正彦氏が書いたものです。医師の中にも怪しい水や、根拠のない健康法を流布する人もおられますが、この岡田正彦氏はそのような類いの方ではありません。岡田正彦氏の本は数冊読んだことがありますが、奇をてらったようなものはなく、エビデンス(根拠)のしっかりした論文を比較検討しながら信用できるものを抽出して結論を導き出す、とてもオーソドックスな手法の書き手です。引用した文章は、学問的にとても誠実な方によるもので、薬とあらば何でもかんでも否定するファナティックなアンチ本ではありません。にもかかわらず、こういった話になってしまうのは、そもそも薬が持っている副作用や、複数の薬を摂ることによって起きる複合的な副作用もまた事実としてあるからなのでしょう。

 私自身は、薬は必要であれば摂るべきだと思います。例えば今目の前で大火事が起きているのであれば、とにもかくにも消火活動をしなければなりませんので、薬を使ってでも止めるべきものは止めたほうがいいと思います。鍼灸で対応できるものもありますが、即効性を考えたら、鍼灸よりも薬の方を適宜必要なときは摂るべきだと思います。

 しかし緊急を要する大火事でもない状態で、薬を摂ることはどうかな?とは思います。また、効果が出ていないものを、「とりあえず」という曖昧な医師の裁量で飲んでいるのもまた、どうなんだろう?と思います。そしてこの引用にもあるように、大量の薬を飲むことはどうなんだろう?とも思います。

 鍼灸の臨床をしていますと、「とりあえず」の裁量で薬を飲んでいる方が意外に多いもので、それで「症状は治っていますか?」とお聞きすると、「いや、別に変わりません。」という答えが返ってくることもしばしばです。そしてこういった方の脈を拝見すると、あるところの脈、例えば肝臓や胆嚢の状態が出る位置にぶっとくなった脈を見つけることがあります。こういった場合は、副作用の蓄積を考えなければなりません。

 繰り返しますが、私自身は薬を否定はしません。適宜必要です。
 しかし、必要でない薬を飲まされている方は多いという印象を受けます。
 私は鍼灸師ですので、薬の指導は法律で禁じられていますので、アドバイスをしたり口を挟むことはしませんが、もし今お飲みになっている薬で症状が好転していない場合や、処方されているお薬に疑問がありましたら、掛かりつけの医師に相談して薬の検討してもらうことがいいと思います。身体の状態が変わって効く薬も変わる可能性もありますので、そのような変化もちゃんと伝えて処方されることをお薦めいたします。

 また、自分である程度考察しておきたい場合は、薬の時点のようなものを一冊持っていると参考になると思います。


【上記の引用文の書籍】

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