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脈診の心得 心を静かに・・・

 私は、鍼をするときはなるべく静かにしております。

 もちろん患者様とお話しが出来ることは楽しいので、こちらもついついお話をしてしまうことがあるのですが、基本的には静かにしており、こちらから話しかけることはなるべくしないようにしています。

 といいますのは、脈診はとても微妙なものなので、特に脈を診るときは大切です。

 こちらはとある古医書の一ページ。

 以下のように脈診の心得が書いてあります。

 一から三までみてみましょう。

脈診の図 (C)表参道・青山・原宿・外苑前・渋谷・東京都内のはりきゅう院 源保堂鍼灸院 肩こり・腰痛・生理痛・不定愁訴・頭痛など

(一) ソノ心ヲ静カニ ソノ神ヲ存ス

【意訳】心を静かに定めて、神気(ここでは指先の感知力)を指先に集中させよ。

【解釈】心がざわついていては、指先からの感覚が伝わってきません。そこで先ずは、自分の心を安定させることが大事です。東洋医学では、「心は神を蔵す」という言葉があるように、心臓に精神の主宰者がいると考えています。例えば緊張したときは心臓がドキドキしますが、このような動揺があるときは、なかなか精神が安定することは難しく、結果もついてきません。さらにもう少し突っ込んで言えば、ここにある「神」とは、「神気」というもので、体制感覚と呼ばれる皮膚感覚、センサーのことを指していると考えられます。

(二) 外意ヲ忘レテ 思慮ヲナクス

【意訳】外へ意識を忘れて、思慮をなくせよ。

【解釈】「外意」とは、外のことに惑わされる意識のことを指します。良い匂いがするなぁ、巨人戦が気になるなぁなど、自分の外側にある余計なことで気をとられてしまうことです。こういった余計なことがあっては脈診に集中できません。そこで外意を忘れる必要があります。次の「思慮」は、自分の心から生じる内面の意識で、取り越し苦労など余計な心配や、考えすぎてしまうことを言います。また、自分の側にその脈に対する偏見があったりすると、脈を上手く取り入れることが出来なくなります。(一)が指先のセンサーであるのに対し、(二)は、センサーが感じ取った情報を素直に通していく伝達路と、それをそのまま書き込むハードディスクと言ったらいいでしょうか。データの取りこぼしがなく、データが誤らないように、指先の感覚を安定して頭に伝える必要があります。

(三) 呼吸ヲ均シクシ ソノ気ヲ定メル

【解釈】(施術する側の)呼吸を調えて、その気を定めるようにする。

【解釈】 呼吸を調えることは、(一)と(二)の結果でもあります。そしてさらにその状態を安定させるために呼吸を改めて見直すことが大事になります。


 脈診はとてもデリケートなものです。心に動揺があると、脈診の精度が落ちてしまいます。名人の域に達すれば別なのでしょうが、まだまだ、なかなか、そうもいきません。

 
 普段私が臨床で使っている脈診という技術には、このような心得があります。

 特に脈を診るときは患者様との会話が止まってしまったり、言葉がつっかえるときがありますが、これは情報を解析している状態で、とっさに右脳と左脳の切り替えが出来ないためであります。不快な印象を与えてしまっていたとしたら、お許しくださいませ。


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