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『メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学』 松永和紀著 (光文社新書)

メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書)メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書)
(2007/04/17)
松永 和紀

商品詳細を見る


 ある雑誌の本特集がありました。“今読みたいこの一冊”というような特集だったと思いますが、各文筆家、各専門家、各著名人などが、自分の分野からみてお薦めの本を紹介するというものでしたが、その中でこの『メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書)』が2人の人に推薦されていたので、本書を手にしてみました。

 「あやしい健康情報とニセ科学」という副題を読み、一瞬躊躇しました。東洋医学、鍼灸も、ときに“あやしい”“ニセ科学”と呼ばれることも無きにしも非ず・・・。ツボ、経絡というものはまだ現在のところ、現代の科学では証明されていません。そして陰陽論、五行論と言ったものになりますと、さらに科学というよりは、“思想”“哲学”という範疇に入れられることが多く、科学である医療の分野ではとうてい受け入れられないというご意見も耳にします。私は臨床家として、常にき効果のある鍼灸術を追究しています。その追究の結果が今のスタイルで、その追究は常に先に進めるべきものだと思い、昨日より今日、今日よりも明日・・というように、日々の臨床での積み重ねを念頭に入れながら研究をしています。 そういった研究と実際の臨床を通して、古典的な鍼灸が「効く」ことを目の前で体験しています。これをはやく科学的に証明される日が来ればいいなぁと思いながら治療しています。
 と、話はずれそうですが、時に“あやしい”、時に“ニセ科学”と言われてしまうことのある東洋医学、鍼灸医学を専門としている者として、こういった世間の目があることもしっかりと理解しておくことが大切で、患者様にインフォームドコンセントをする際にも、そのポイントを把握しておくことは、患者様に対しての誠意だと思いますので、本書の内容はそういう意味で参考になりました。

 世の中にはたくさんのあやしい情報があります。魔法のような効用を謳ったものもあります。そのような魔法がないことを知りつつも、気持が弱っているときは、その怪しい情報にすがりつきたくなり、そして飛びついてしまいます。最近では、飛びついてしまう消費者の方が悪いという言い方もありますが、私はそうは思いません。やはり、困っている人の弱みにつけ込む輩が先ず悪いと思います。本書の著者は、特にメディアの罪を説いています。売れる紙面づくり、視聴率を上げるための番組作り、そして次から次へと消費しては消えていく情報の波によって、正しい情報を届けようという気持もなくなり、内容を検証していく時間もなくなっていく。メディアはその負のスパイラルから抜け出せないでいると著者は言います。

 本書はメディアに誤魔化されないようにしようというのが趣旨かと思います。実際に起きたフジテレビの「あるある大辞典」での納豆ダイエット捏造事件など、同じような具体的なメディアの罪を挙げています。私としては、もう少しその具体的な事例から、メディア・バイアスから抜け出す方法を伝授して欲しかったと思いますが、結局のところ、本書を読むと、“メディアはウソだらけだから疑ってかかろう”“だまされないようにしよう”というのが結論でした。

 深い話は抜きにして、とりあえずメディアはけっこういい加減な情報を流しているんだなぁということを知る一冊かなと思います。情報が溢れるこの時代だからこそ、目を通しておくのは損ではないと思います。

追伸
冒頭にも書きましたように、本書を購入するきっかけはある雑誌の本の特集でした。二人の方が推薦されていたと書きましたが、そのうちの一人は本書の中に出てきました。「ひょっとしたらこの人は、自分の名前が出ているからこの本を推薦するのかな?」と邪推してしまったのは、本書を通してあまりに“メディア・バイアス”の危険が身についてしまったからなのでしょうか(^^;)

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