『日本人の精神と資本主義の倫理』 茂木健一郎・波頭亮
2008 / 08 / 02 ( Sat )
テレビ番組のコメンテイターも務めることがある茂木健一郎氏と波頭亮氏の対談集。かたや脳科学者、かたや経営コンサルタントという全く違うベクトルの仕事をしている両者ですが、二人のお話しはうまく噛み合い、ときに意見の相違を見せ合いながらも、うまくまとまりながら、現代日本を蝕む精神的な貧困さに話が及んでいます。戦後何度か日本は人生に対しての価値観を変えてきました。戦後の闇市の時代から、高度経済成長、バブル、バブル崩壊、そして時代は二極化へ・・・。 この価値観の変化のたびに、我々は大切なものを一つ二つと失ってきたように思います。この本を読みますと、大切なものを失っていく過程、そしてこれから必要な心構えみたいなものを示唆してくれるように思います。(“示唆してくれるように思う”と書いたのは、本書に書かれていることを、必ずしも全てにおいて賛成できないと感じたからです。) 価値観というものはとても曖昧で、何を大切にし、何を切り捨てるかは各個人に任されたもので、強要することはできないと思います。しかし時代の流れという大きなうねりはあるもので、そのうねりに翻弄され、正しい価値判断ができないという場合もあります。常に自分の価値観を揺さぶりながら、何が自分にとって必要なのかをみつめることが大切になるように思います。この新書は、そういった今持っている自分の価値観を揺さぶるためのいいお手本になるのではないかと思います。 上述したように、私はこの本の対談に全て賛成するわけではありません。その一つは、専門家である職人を少し否定したような書き方があったことです。iPODの例が挙げられていますが、そこで“日本はiPODの部品を作ることはできても、iPODを生み出すことはできない(iPODのようなものを作るという発想を生み出す土壌がない)”と言うようなことが書いてあります。私はそれでいいと思いますし、それが日本の価値であると思うのですが・・・。 と、少し思うところもありますが、総じて読みやすく、現代の日本が抱えている問題を総覧できるように思います。 |
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