『備急灸法』(補足)
2006 / 10 / 19 ( Thu )
 10/17のブログにて『備急灸法』というお灸の本を紹介いたしました。
出張先の四国でパソコンを借りて急いで書いたので、少々書き足りないところもありましたので、本日はその補足をしていきます。


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 この『備急灸法』ですが、作者は聞人耆年(ぶんじんきねん)という変わった名前の人です。生没年代など詳しいことは分っていません。
『備急灸法』の序文によりますと、書かれたのは宝慶丙戌年、つまり1226年です。今年も丙戌の年なので、同じ年にこの本をこのブログで紹介できるのも何かの縁を感じます。
 序文によりますと、聞人耆年は庶民の中で医療活動をし続け4、50年。そして彼が晩年になってこの書を書いたと説明されています。『備急灸法』の中では、22種類の病症について述べられていますが、彼のオリジナルというよりは、それまであったお灸の施術方法やこれまでの書物に散見できるお灸法を、作者である聞人耆年が自ら臨床で行なっていくなかで、効果があると思ったものを選択して掲載したようです。
 1226年ともなりますと、東洋医学は鍼灸よりも漢方薬(湯液)が盛んになっていきます。しかし、当時すでに漢方薬の知識は混乱をしていましたし、まだ高価なところもあったようです。そうった漢方薬に対して、聞人耆年はより安価な治療方法、そしてかつ簡単にできるものを、ということでこのお灸に行き着いたのではないでしょうか。10/17のブログにも書きましたように、鍼の技術はこの時代すでにだいぶ伝えられているものが少なくなっていました。そこで鍼よりも簡便なものを求める時代背景もあったのかもしれないません。
 22病症を見ていくと、急性期の病がほとんどです。例えば急な鼻血のお灸なども載っております。現在鍼灸に来院される患者様は慢性的な病の方が多いので、このような鼻血の背灸をしたことはありませんが、興味深いところがあります。もし鼻血が出たとき、自分で自分の身体に試してみようと思います。

 このように、お灸の世界もまた古医書を辿っていきますと、いろいろと深いものがあるのです。


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