お灸のシーン
2006 / 10 / 16 ( Mon )
 昨夜四国でお世話になっている方とご飯を食べているときに、NHKの大河ドラマ『功名が辻』を観ていました。そのドラマの中で、西田敏行扮する徳川家康が、お灸をしているシーンがありました。とても大きな灸で煙がもくもくと出ていました。画面に映ったお灸を見てみると、荒いお灸でした。お灸は用途に合わせて荒さがあります。このシーンでやっているようなお灸の場合は、体の凝っているところに直接やるようなものなので、暖める事が主になり、このような荒いお灸でもいいわけです。昭和58年に放送された滝田栄主演のNHK大河ドラマ『徳川家康』でもお灸をしているシーンがあったので、おそらく今回のこのシーンとあわせると、歴史書の記述に家康がお灸をしていたことは有名な事なのかもしれません(私はこの点は知りませんが・・・)。関が原の戦いで勝利を得て以後の江戸幕府成立時の用意周到振りを見ると、家康が健康にも気を遣っていたことは容易に察しがつきます。

 ところで当院で使用しているもぐさは上質もぐさといいまして、ヨモギの葉っぱの裏に生えている毛だけを集めたものです。毛だけ集めたものなので、とても軽く燃焼が速いのが特徴です。この上質もぐさを米粒の半分くらいにひねって直接皮膚にお灸をしていきますので、昨日のドラマのシーンに出てきたような大きなもぐさをする事はありません。この上質もぐさですが、燃焼が速いお灸で、しかもとても小さくひねるので、一瞬のうちにツボや患部に熱が入っていきます。そのためお灸の痕が残る事もありません。当院では背骨の冷えをとるために主に使用していきます。鍼とは作用機序が若干異なるのがお灸の面白いところです。最近ではお灸をする事でナチュラルキラー細胞と呼ばれるリンパ細胞が活性化することも実験でわかるようになりました。お灸もまた鍼と同様に今後見直されていく伝統医療の一つだと思います。

 私が出張しているここ四国では、“弘法の灸(こうぼうのきゅう)”というものが昔は盛んだったようです。弘法大師、空海を産んだ四国ですが、その弘法大師が民衆の健康・病の治癒のためにお灸を普及させたといわれています。最近では少なくなったようですが、土地土地、家々でお灸をする事は日常の光景だったそうです。たしか以前松山の道後温泉に行ったとき、道後温泉の商店街の中にお灸のお店があったことを思い出しますが、これもその流れなのかなと思ったものです。
四国で治療をしていますと、お年を召した方の背中に、時々お灸の痕を見ることがあります。話を伺ってみると、とても大きな熱いお灸を小さいときにすえられたとか・・・。しかしそのおかげか、そういったお灸をされてきた方々は、これまで大きな病気かかった事はないともいいます。

 信長、秀吉、家康と戦国時代の覇権は移動していきましたが、最後に長期政権を築いた徳川家康。最後までじっくり留まって事を成し遂げた家康の背景には、ドラマにあるようなお灸による健康管理が実際にあったのかもしれません。
 日々の健康的な生活のために、鍼灸治療を定期的に受けられる事をお勧めいたします。

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