『東医寶鑑』とチャングムの時代
2006 / 10 / 09 ( Mon )
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※ 表参道・青山・源保堂鍼灸院では、このように中国・台湾から輸入できる原文を直接読んでおります。


 ここ数年韓流と呼ばれる韓国ブームが続いている。特に映画やドラマはまだその勢いは衰えていないように感じます。ブームというよりは一つのジャンルとして確立されたのでしょうか。
 私はほとんどテレビを見ないのでこういった情報には疎いのですが、最近、時々患者様から耳にするのが『宮廷女官チャングムの誓い』です。ドラマの内容は皆様ご存知のように、チャングムという女性が、宮廷料理人から宮廷の女医にまで上り詰めていくという物語。この『チャングムの誓い』の中では、鍼をするシーンや、脉を診て病気を診察するシーンがあると聞きます。そのシーンと当院の鍼の様子を比較していろいろと質問をなさる患者さんもおり、東洋医学への関心も高まり、東洋医学と鍼灸というものがだんだんと浸透してきている感じがしてうれしくもあります。
 しかし実際にドラマを観ていないので分りませんが、患者様からドラマのお話を聞くに、それはありえないのではないかと思うような場面も多々あるようですね。それはある程度脚色が必要なドラマですから、仕方ないことなのでしょう。特に鍼をしているシーンは、かなり痛そうに鍼が怖く見えるそうです。しかし、当院ではそのような乱暴な鍼をしませんので、痛いことも怖いこともありませんので誤解のないようにお願いいたします・・・。チャングムのイメージをもって当院の治療を受けた方は、「チャングムのようにはしないんですね〜。ぜんぜん痛くないんですね〜。新鮮でした。」という方がほとんどです。

 ところで古医書の世界へ・・・。
 韓国の古医書で最も信頼があり、東洋医学の古医書として現在も燦然とその価値を失わないものとして、『東医寶鑑(とういほうかん)』というものがあります。この本は、朝鮮国李王朝中期の医学者で、宣祖(在位1567〜1608)の侍医に携わった許浚(きょしゅん/韓国語読みでホジュン)という医家が1611年に出版した書物です。この本は、許浚の16年間の研鑽の集大成で、各種病証の病院・証侯・治療法・方剤・薬物・経絡・鍼灸などを網羅しています。言わば朝鮮のお隣、中国の医学を各方面からまとめた医学総合書のようなものです。ところどころハングルで書かれた部分もあり、それを見ると、中国から輸入された書物を自国に入れる当時の苦労を感じます。この本が出版されたのが1611年です。チャングムの設定が15世紀末から16世紀前半です。この年代から推測してみると、実在のチャングムもひょっとしたらこの『東医寶鑑』を手にしたかもしれません。『東医寶鑑』を手にしたチャングムはどのような思いを馳せたのでしょうか。自分が苦労して身につけた東洋医学の真髄が、このように一冊の本にまとめられたところを見て、韓国の医学がまた前進する感慨深く思ったのではないでしょうか。この『東医寶鑑』は輸入先の中国でも高い評価を受けており、また日本にも入り、日本の東洋医学史にも影響を与えた本です。

 チャングムに関しての記述は朝鮮医学史の中にはほとんどないようで、ドラマは当時の歴史書にある一行の記述を元にして、そこから物語を広げたフィクションのようですが、こちらの『東医寶鑑』の作者の許浚の歴史はよく知られているようで、その生涯がドラマや本にもなっているようです。チャングムを観た後は、こちらの許浚の物語もみてみてはいかがでしょうか。さらに東洋医学・鍼灸医学への関心が深まるのではないでしょうか。
 
※ 許浚(きょしゅん・ホジュン)のドラマの情報 → こちら
※ 許浚の物語は以下の本で読むことが出来ます。
許浚〈上〉医の道に辿りつく 許浚〈上〉医の道に辿りつく
李 恩成 (2003/04)
桐原書店

この本の詳細を見る

許浚〈下〉心医の域に達する 許浚〈下〉心医の域に達する
李 恩成 (2003/04)
桐原書店

この本の詳細を見る


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