古医書の世界
2006 / 10 / 07 ( Sat )
 表参道・青山・源保堂鍼灸院では、一貫して“伝統的な鍼灸術”の世界を追究し、それを治療方針として施術しています。ブログやホームページを通してこの伝統鍼灸の世界を紹介しているのも、その一貫の現れです。
 しかし、“伝統鍼灸”というものの、“古医書医学”というものの、全ての古い医学書が必要か、または有効かといいますと、そういうことではありません。古医書の中にも、“この病気にはこのツボ”というツボ療法の本も少なくありません。このようなツボ療法の本は、古い医学書であっても、ツボ療法の範囲を出るものではないため、身体を読み解き治療方法を見つけていく本治法にはほとんど役に立ちません。しかしながら、やはりそのようなツボ療法の本は当時から幅を利かせていたようで、『黄帝内経』のような総合理論書を読まない医家も当時でも沢山いたようで、これは現在の鍼灸界をみても同じことが言えるのではないでしょうか。

 最近私が傍らに置いて読んでいるのは、以前にもこのブログに紹介しましたが、汪機(おうき)という人が書いた『鍼灸問答』という本です。汪機は1463年〜1539年に生きた医家です。この汪機は、郷土の史書に「医を行うこと数十年、人を活かすこと数万を計う」とあるほどに、臨床に生きた人のようです。この汪機が書いた『鍼灸問答』は、鍼灸についての質問に対して汪機が答えていくと言う問答形式になっています。どちらかというと口述のような感じで、堅く書いてある本ではありません。しかし、この本を読んでいますと、この人は本治法が出来たんだろうなと思わせるような部分が各所に見られます。先日このブログにも書いた「置鍼」についての記述もありますが、ここを読むと、やはり現在の置鍼が主流の鍼灸治療に疑問を持たざるを得なくなります。

 病の本(もと)を求め、その病の本(もと)を取り除く本治法を追究していくことは、簡単なことではありませんが、少しずつでも伝統鍼灸の良さが浸透していくことが、日々の臨床の歓びであります。


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