足三里
2006 / 04 / 17 ( Mon ) 昨日は「足三里」というツボについて書こうと思って書き始めたのですが、ツボの名前を挙げるとどうしてもそれだけに目が行ってしまうことが多く、東洋医学の奥深さが伝わらない。そこで前置きとして本治法とツボ療法の違いを書き始めたのですが、結局その前置きが長くなってしまった。
ということで、今日は「足三里」について(誤解のないように今日の「足三里」だけではなく、前日の「本治法と標治法」も読んでいただくことをお願い申し上げます)。 地下鉄の「門前仲町駅」から歩いて7,8分のところに「採荼庵(さいとあん)跡」という史跡がある。ここに俳句の松尾芭蕉が通りを眺めて座っている。 ![]() この採荼庵は松尾芭蕉の門人鯉屋杉山杉風の別荘で、芭蕉は元禄2年(1689)にこの採荼庵から「奥の細道」への旅をはじめました。この芭蕉の書いた「奥の細道」の冒頭には、「足の三里に灸をする」という文章があります。足三里と言うツボは足の膝の下にあるもので、部位的に言えば膝の治療や予防に使う先生も多いかと思います。 しかし、足三里の効果は単なる部位的なものだけではありません。足三里は足之陽明胃経(あしのようめいいけい)という経絡に所属しており、その胃経の中でも合土穴というものに分類されます。胃は五行分類で土に入りますので、土の土であるので、胃経の中でもかなり土に関係が深くなります。その土と言うものは、ここでは消化力と関係していますので、足三里は胃の消化力に影響を与えるツボと言い換えてもいいかもしれません。 『黄帝内経・素問』の「太陰陽明論」には、「四肢(両手両足)は皆 胃において気をうける」とあります。これは、胃から吸収した栄養は両手両足に蓄えられるという意味です。つまり、胃からの栄養の吸収がしっかりしていれば、手足は充実して健脚になるということにもつながります。 芭蕉の頃の旅はほぼ徒歩で長い道を進んでいく。その旅の道中で一番大切なのは足であり、その足にある足三里のツボに灸をすることは、部位的なものだけでなく、消化力にも影響を与え、快適な旅を助けるものである。胃が快調であれば旅先での食事も楽しめるだろうし、楽しく食事が出来れば無病に旅をすることが出来る。そういった意味を込めて、おそらく当時の人は旅に出るにあたり、足三里にお灸をすることが多かったようです。 「奥の細道」の冒頭にある足三里のお灸をすえるくだりからは、芭蕉のこの旅にかける並々ならぬ思いを感じます。 老いは足からはじまる、といわれます。「奥の細道」を読みながら、そして俳句をひねりながら、足三里の灸をすえるのもいいかもしれません。そして時には季節の移り変わりを眺めるながら歩いてみるのも、健脚、健康にお勧めであります。 |
|
| ホーム |
|















