脾胃論
2006 / 04 / 15 ( Sat )
 昨日はちびまるこちゃんに出てくる藤木君を題材にして胃の大切さを述べてみました。
 東洋医学では胃を陽としていますが、それに対応する陰として脾を挙げています。これは現代医学で言う脾臓そのものではなく、現代医学の解剖学で言う脾臓や膵臓を含みながら、幅広く消化力全体を現すものとして考えてもらえればいいと思います。胃との対応ですから、この脾もまた昨日書きました「水穀」に関係してまいります。
 この二つをあわせて脾胃(ひい)と呼びますが、この脾胃をそのまま題名にしたのが、『脾胃論』です。この書物は金元の時代に李東垣(り・とうえん)(1180〜1251)という医家によって書かれたものです。金元時代は東洋医学、特に湯液(漢方薬)が進展した時代でもあり、金元四大家と呼ばれる大きな実績を残した医家が登場した時代でもあります。その四大家は劉完素、張潔古、朱丹渓、そしてこの『脾胃論』を記した李東垣です。李東垣の時代は金や元といった周辺民族の中国への侵入が相次いだ時代であり、民の生活は疲弊しきっていました。特に外からの攻撃に怯えて生活をしていたため、内傷(ストレス)が多い時代で、その内傷から民は身体を壊していました。それまでの医学はどちらかというと外感と呼ばれる風邪のような外からの攻撃に対処するものが主流でしたが、李東垣の時代に入ると、今までの外感への対処だけでは病を防げなくなりました。
 このような背景の下、李東垣は『脾胃論』を著しました。その中で繰り返し脾と胃の大切さを説き、脾と胃こそ元気の盛衰が病にかかるかかからないかを決定すると述べており、その対処法である湯液の処方を様々考案しております。彼が編み出した湯液での中で今日もよく使われているものが、「補中益気湯」というものです。
 現代はストレス(内傷)の多い時代です。李東垣の時代のように、ストレスによって身体を壊すことが多い時代です。このような時代であるからこそ、また我々は脾胃の大切さを知ることになりました。季節にあった飲食物を安定して摂ることは、脾胃の安定、精神の安定につながっていきます。李東垣の『脾胃論』を読みながら、改めて私自身、脾胃の大切さを認識しなおしています。
 患者様、読者の皆様、今一度、食生活を見直してみてくださいませ。




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