蛤(ハマグリ)
2008 / 03 / 15 ( Sat ) 蛤(ハマグリ)の殻は、ぴったりとくっつくことから、夫婦和合の象徴として婚礼料理などには必ず出てくる食材です。“象徴”という意味合から夫婦和合とされる蛤ですが、実は栄養面から見てみましても、夫婦和合を意味するといっても良いもので、、特に女性にとってはありがたい食材ということが分ります。
まず貝類に共通の特徴ですが、アミノ酸(蛋白質が分解されたもの)のバランスに優れ、低脂肪という面が挙げられます。そして、鉄分、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などのミネラルが豊富ですので、貧血の防止にもなりますし、またこういった微量元素は、丈夫な子供を産むために必要なものとされていますので、こういった栄養面からの効果をも、蛤を“夫婦和合”の意味合いとして昔から感じ取っていたのではないでしょうか。 『本草綱目』を紐解いてみます。 「五臓を潤す。消渇を止める。胃を開く。(中略)婦人血塊よろしく煮てこれを食す。」とあります。 まず最初の「五臓を潤す」ということから、内臓の基礎である「五臓」を滋養することがわかります。さらい、「消渇を止める」とありますが、この「消渇」とは、現代医学で言う「糖尿病」のことです。十分なミネラルと蛋白質が、糖尿病にも良いのかもしれません。そして、女性にとって優れているのは、「婦人血塊」とある部分です。女性は生理などもあり、血(けつ)の滞りを作りやすいところがあります。婦人血塊というのは、まさに「お血」(流れの悪くなった血液)のことを指し、『本草綱目』では、ハマグリがこのお血に有効であることを伝えています。お血は様々な病や深い症状を起こす原因とされております。お血を改善してくれるハマグリは、女性にとってはとても相性のいい食材と言えます。 ハマグリの料理方法ですが、必ずよく熱を通して召し上がってください。 クラムチャウダー、焼きハマグリ、お吸い物。また、少し塩分が増えてしまいますが、佃煮などもお奨めです。 |
ヒース(エリカ・ヘザー)
2008 / 03 / 03 ( Mon ) ![]() “ヒース”と聴いて、何を思い浮かべますか? 再結成間近のXジャパンのベーシストを思い浮かべる方は、かなりのビジュアル系です。 ローリング・ストーンズのキース・リチャーズを思い浮かべる方は、聞き間違えです・・。 “エリカ”と聴いて、何を思い浮かべますか? 「べつに・・・」を思い浮かべる方は、沢尻エリカがツボにはまってますね・・・。 “ヘザー”と聴いて、ヘザー・グレアムを思うい浮かべる方は、かなりの映画通です。 と、くだらない冗談はさておき、本日はハーブの「ヒース(エリカ)」を御紹介いたします。 ヒースは別名エリカ、またはヘザーともいいますが、園芸用としても栽培が盛んで、その品種は1000種以上あると言われております。日本ではヒースの名前は一般的ではないようですが、ヨーロッパの農家ではとても馴染みが深く、燃料、飼料、屋根を葺く材料など様々に利用されてきました。 そして、ヒースは、ハーブとして我々の身体にもとても良い作用をもたらしてくれます。利尿、殺菌、鎮静作用、またミネラルが豊富なので、強壮作用があることも知られております。 特に泌尿器系の殺菌効果は注目されており、腎臓や膀胱の病気の治療薬として利用されてきた歴史もあります。また、入浴のときに、ヒースを入れると、リウマチの痛みがやわらぐそうです。また、殺菌効果もありますので、ニキビができやすい方などには、ヒースのハーブティーを洗顔に使っても同じような効果があるそうです。 ヒースの香りは、私の感覚では、少々梅干のような感じがします。味は多少苦味がありますが、爽やかなもので、癖はありません。 ![]() 現在当院の玄関先に置いてあるのがヒースです。 小さな花を咲かせてくれております。 目で楽しませてくれて、お茶としても身体にやさしく、植物ってほんとにえらいですね。 |
牡蠣(かき)
2008 / 01 / 30 ( Wed ) 縄文時代の貝塚からは、牡蠣の貝殻も多く見つかるそうで、昔から牡蠣は日本人にとって馴染みの深い食材の一つだったようです。また、日本人にとってだけではなく、ヨーロッパなどでも牡蠣を使った料理は多く、世界でも親しまれる食材です。
牡蠣は「海のミルク」とも称されるように、アミノ酸の一種であるタウリンを豊富に含んだ良質なたんぱく源です。さらに鉄分、銅、亜鉛などのミネラルも豊富です。亜鉛は新陳代謝を高め、免疫にも関係し、銅は血管や骨を丈夫にしますので、まさに「海のミルク」たる成分を具えています。 『本草綱目』を紐解きますと、食べ方とその効能が書かれています。 まず煮て食べた場合は、「虚損(身体の体力の減少)を治し、中(五臓)を調え、丹毒、婦人気血を解く」とあります。これは、牡蠣が持っている滋養作用を示したものです。また“丹毒、婦人気血を解く”とありますので、解毒作用があることも分かります。 次に生で食べた場合は、「丹毒、お酒を飲んだ後の煩熱を治し、渇きを止める」とあります。これは、煮て食べた場合と重なりますが、解毒作用があることを示しています。特にアルコールの解毒作用があるので、お酒が多くなる方には、長家と共に牡蠣も召し上がるといいと思います。 そして最後に焼いた食べた場合が載っていますが、ここには、女性のとって嬉しいことが書いてあります。そこには、「焼いて食べるものは甚だ美しい。人をして肌、皮膚を細くし、顔色を美しくする」とあります。皮膚の艶は、「そう理(そうり)」と言って、五臓六腑の調子が出るところでもあります。牡蠣を食べることで皮膚の調子が良くなるということは、五臓の調子が調うと言うことでもあります。顔色が美しくなるというのは、亜鉛、銅などのミネラル成分によって代謝が良くなり、内側からきれいになっていくことを示していると思います。 以上のように、古来から親しまれてきた牡蠣ですが、現代的な栄養学から見ても、また、東洋医学の栄養学から見ましても、とても優れた食材であることが良くわかると思います。まだ寒い日が続きますが、牡蠣鍋などにして召し上がってみてはいかがでしょうか。 ※ 牡蠣を召し上がる際は、良く熱を通して召し上がってください。 |
ギンナン
2007 / 12 / 18 ( Tue ) 昨日のブログで、『本草綱目』には、どうやらイチョウの葉を飲用していた形跡はないような・・・ということを書きました。しかし、これはまだ『本草綱目』一冊のみのお話しですので、確かな証拠ではありません。今後の考証が必要なので、これから機会を見つけて調べてまいり、またこの場で発表できればと思います。また、このブログのお読みいただいている方で、もしこのことに関して情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひともご協力をお願いしたく思います。
さて、せっかく『本草綱目』でイチョウを調べましたので、そこにあるギンナンについての記述を見てみたいと思います。 その昔、中国ではギンナンの別名には「鴨脚子」というものがあったそうです。これは、イチョウの葉っぱの形が、鴨の掌に似ていることからつけられたそうです。また、種の殻が小杏に似ており、色が白いことから「白果」という別名もあったそうです。原生地は江南地方で、中国で一般的に広まったのは、宋初期の初めに貢物として入ってきてからのようです。 ギンナンの効果の特長としては、「肺を温め、気を益す。喘咳(ぜんがい=咳)を定め、小便の出を良くする(原文では“小便ヲ縮メル”とあります)。」とあります。この記述からわかることは、ギンナンは肺に効くということです。肺に効けば、まず呼吸器と密接に関係していますので、続く記述のように、咳に良いということがわかります。さらに、東洋医学では、肺の力を借りて小便を出すという考えがありますので、肺の気が増すことで、小便の出が良くなると言うことになります。 冬の季節は冷えますので、トイレが近くなったり、膀胱炎になりやすかったりします。こういった方には、ギンナンを食べて、お小水の出を良くしておくことも一つの食養生にもなります。また、昔から夜尿症にはギンナンを食べると良いと言われますが、こういった記述からも、このことがわかると思います。ただし、小児、子供には刺激が強い食べ物ですので、食べ過ぎないようにすることが大切です。 冬の寒い日、ギンナンを入れた茶碗蒸しなど、身体も温まりますので、いいかもしれません。 |
ギンコウ(イチョウの葉)
2007 / 12 / 16 ( Sun ) ハーブと言いますと、ローズヒップ、ハイビスカス、ローズマリーなど、なんとなく英語の名前を思い浮かべるかと思います。そして、その聞きなれない英語の名前で、まだまだ親しみがわかないこともあるかもしれません。
しかし、先日ブログでお話をしました桑の葉のように、我々日本人にとっても馴染みの深いものもいくつかあります。そこで、本日は馴染みのあるものとして、先日紹介しました桑の葉に引き続き、イチョウの葉を取り上げます。 イチョウの学名は、Ginkgo(ギンコウ)と言います。 地球上に現れたのは2億年前とも言われており、その頃は隆盛を誇ったようですが、現在は野生のものはほとんどなくなってしまったようで、神社やお寺、並木道にあるものが主流だというのは意外です。寺社にあるイチョウなどは大きく成長して、ご神木のようになっているものもありますが、イチョウの寿命は長いもので4000年とも言われているので、人間の寿命をはるかに超え、まさにご神木として歴史を見渡している観があります。 イチョウの葉(ギンコウ)のお茶は、単独で飲みますと、葉っぱのような感じがありますが、比較的くせはなく、飲みやすいものです。効能としては、アレルギー症状をやわらげたり、血管を拡張する作用もありますので、血流を促進することが知られています。また最近の研究では、イチョウの葉は脳内の血流も良くするようで、物忘れ、アルツハイマー型の痴呆症を緩和するということもわかってきており、老化防止のハーブとして研究され、期待が増しています。 現在、日本からヨーロッパに大量のイチョウの葉が輸出されているそうです。これは、イチョウの葉の効果への評価が、日本よりも海外で高まっている証拠ではないかと思います。逆輸入の形で、また日本でもイチョウの効果が研究が進められることを期待します。 |
桑の葉
2007 / 12 / 09 ( Sun ) 本日の「桑の葉」を取り上げます。
桑の葉と言いますと、小学生のときに飼った蚕(かいこ)を思い出す方も多いかと思います。蚕のためのものというイメージですが、実はこの桑の葉は、蚕の栄養になるだけではなく、我々の身体にもとってもいいものです。 栄養学的に見ますと、鉄分やカルシウムなどのミネラルが豊富で、その他にもビタミン、亜鉛なども含まれます。乾燥させますととても鮮やかな緑色になりますが、これは、ポリフェノール、フラボノイドといった成分が入っている証拠でもありますが、これらのポリフェノールやフラボノイドは、老化を進めるといわれている活性酸素(身体の錆とも言われています)を取り除く効果が知られています。そういったことでも、健康の維持やアンチエイジングなどにも効果が期待できます。味としましては、桑の葉単体ですと多少渋みがあり、番茶のような感じがするのが特徴です。 『本草綱目』を紐解きますと、桑の葉の主治として、「寒熱を取り除く」「むくみを取り除く」「小腸・大腸を通す」「五臓を通す」「関節に通じる」などが書いてあり、また、「老風及び宿血を去る」「労熱咳嗽を治し、目を明らかにし髪を長くする」ともあります。また、仙人になるための神仙のためにも服用されていたようで、これはまさにアンチエイジング的な効果を示唆しているように思います。 いつも飲むお茶の一つとして、桑の葉のお茶を仲間入りさせて見るのもいいかもしれません。 |
甘藷(さつまいも)
2007 / 11 / 15 ( Thu ) これから寒い冬がやってきます。
冬の風物詩の一つして、焚火があります。都会では焚火をする姿を見かけることは少なくなりましたが、手を擦りながら火にあたり、近所の人と交流するのは楽しいものではないでしょうか。 焚火といえば焼き芋ということで、本日は「甘藷」を取り上げます。 『本草綱目』を紐解きますと、甘藷のところには、 「虚乏を補い、気力を益す。脾胃を健やかにし、腎陰を強くする。」とあります。 虚乏とは身体の衰え指します。脾胃は飲食物を消化吸収し、身体全体に運ぶ作用を言い、これを「後天の気(こうてんのき)」といいます。腎陰は持って生まれた生命力のことを指し、「先天の気(せんてんのき)」と呼びます。この両者がお互いに協力して生命活動が営まれていますが、この脾胃と腎陰を補助してくれるとありますので、甘藷は身体を強くしてくれることがわかります。冬場は寒さに対抗していかなくてはなりませんが、“冬に焼き芋”というのは、こういった『本草綱目』の記述からも、納得がいくように思います。 栄養学的に見てみますと、ビタミンCと食物繊維が豊富です。ビタミンCに関しては、りんごの6倍あるそうで、しかも加熱によっても壊れにくいビタミンCなので、料理方法にも幅ができます。そして、食物繊維も豊富ですので、便秘がちな方などにもお奨めです。 なお、甘藷(さつまいも)は、冷えたところが苦手な野菜なので、冷蔵庫ではなく、常温で保存してください。 【関連情報】 □ 「Hanaの菜食レシピ」より「さつまいもの和菓子」 |
大根(2)
2007 / 10 / 28 ( Sun ) 昨日は大根の第一回として、大根の歴史をお話しいたしました。
本日は大根の栄養についてです。 まず我々が主に食べる白い部分です。これは大根の根の部分に相当しますが、この根の部分は、ビタミンCや消化を助けるジアスターゼなどの酵素が豊富です。特にビタミンCは皮の部分に豊富に含まれますので、大根おろしにするときには、皮ごとおろすと良いようです。私は大根の皮を厚めに切っておき、塩を振りかけて浅漬けにしたりします。大根の辛み成分のアリルイソチオシアナートは胃液の分泌を促し、腸の働きを整え、痰をきる効果があり、血液をきれいにしたり、殺菌効果もあります。 次に葉の部分ですが、根の部分よりも豊富なビタミンCを含みさらに、ビタミンA、鉄分なども含まれます。大根の葉は少し硬いのですが、これだけ豊富な栄養を捨ててしまってはもったいないです。 その他大根と言いますと、乾燥させた切干大根などもあります。こちらは、生の大根より、ビタミンB1、カルシウム、鉄分を多く含みます。大根を長く食べるための工夫だったのでしょうが、このように栄養面でも優れ、食の歴史は知恵の宝庫だなと感じます。 これから寒い冬に向かっていきます。寒い冬にはおでんが似合います。鍋も似合います。そしてこの大根もますます味を益していきます。大根は冬野菜の主役です。もう“大根役者”とは呼べません。 |



















