『黄帝内経』の主な内容(3)
2008 / 05 / 12 ( Mon )
昨日に続きまして、『黄帝内経』の主な内容の(5)〜(7)を簡単に述べてまいります。

『黄帝内経』の主な内容 2
(5) 治則治法学説
 これは治療方法のことです。身体がどういった病でどのように壊れているかが分ると、次はそれに基づいて治療をすることになります。どの経絡を使うのか、どのツボを使うのか、どの漢方薬を使うのか、といったことを決めていくのが治療法則と言うことになります。

(6) 養生学
 東洋医学の特長の一つは、未病という本格的な病気になる手前の段階で治療をしていくことにあります。そして、自然と調和し、いつまでも元気に過ごしていくことを求めました。こういったことから、普段の生活から生命力を養うという意味で、養生というものが注目されました。

(7) 運気学説
 身体は自然の中で生かされ、天地の間に萬物が育まれているというのが東洋思想にあります。自然の運行に左右されるのもまた、人間の営みです。今年の夏は暑い夏になるのか、寒い夏になるのか、そういったことをある程度予測しておくことで、その季節の過ごし方への対処方法が見えてきます。このような天候の流れなどを読むのが運気学です。

 『黄帝内経』は、主な内容としてこのように7項目くらいにまとめられると思います。そしてこれを基本にしてたくさんの注釈書が書かれてきました。(4)の診法学説の中でも、脈診と呼ばれるものは奥が深く、多くの研究がされています。身体に関する総合的な聖典が『黄帝内経』で、それを基本にした東洋医学は、総合的体系な医療ということが分るかと思います。

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『黄帝内経』の主な内容(2)
2008 / 05 / 11 ( Sun )
『黄帝内経』の主な内容について、今日は昨日箇条書きにした(1)〜(4)を述べてみたいと思います。

『黄帝内経』の主な内容 1
(1) 陰陽五行学説
陰陽五行学説とは、陰陽論と五行論に大きく分けられますが、陰陽とは、身体の変化、自然界の変化といったものを、陰陽という対照的な力のバランスで捉えたものです。五行とは、萬物を木火土金水という5つの要素に分類し、その拮抗関係、促進関係で見ていくものです。陰陽論と五行論は、どちらも力のバランス関係を示すもので、バランスが取れている状態が良いとされています。

(2) 臓象経絡学説
 これは、現代医学で言えば、解剖学や生理学に相当します。臓象とは、身体の主要臓器のことを指し、肝・心・脾・肺・腎の五臓と、胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦の六腑に分け、その他、脳や髄といったものを奇恒の腑として分類しています。経絡は、これら各五臓六腑を繋げて、身体の隅々に栄養や気血を送るルートのことをいいます。

(3) 病因病機学説
 病気は一体何が原因で起きるのか?そしてその病気はどのような変化を辿るのか?人体への影響は?といった病気の側から見た身体のことです。現代医学でいえば、病理学にあたります。東洋医学の病因論で特徴的なものは、ストレス・生活環境といったものをしっかり捉えていたところにあります。

(4) 診法学説
 これは、現代医学の診断方法のことです。当時は画像診断といった機器がありません。そういった中で、身体に起きている変化を捉えていかなくてはいけませんでしたでした。病気によって起きた身体の中の様子は、必ず体表に現れるという考えから、身体が著す様々な様相が診断の対象となります。これを四診法といって、望・聞・問・切という4つの診断方法に集約たのが東洋医学の特徴です。

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『黄帝内経』の主な内容(1)
2008 / 05 / 10 ( Sat )
 昨日は簡単ではありますが、東洋医学の原典である『黄帝内経』の概要をお話ししました。『黄帝内経』は、人体や病を解き明かしている書物ですが、その内容は多岐に渡っております。本日はその内容にどんなものがあるかをまとめていきたいと思います。

『黄帝内経』の主要内容
(1) 陰陽五行学説
(2) 臓象経絡学説
(3) 病因病機学説
(4) 診法学説
(5) 治則治法学説
(6) 養生学
(7) 運気学説

 以上のような学問体系をまとめたものが『黄帝内経』です。長い年月の中で完成されたものなので、各章の並びは煩雑なところがありますが、こういった内容があると整理しながら読んでいくと、たいへん優れた書物であることが分ります。
 明日以降、書く項目を簡単に述べていきます。


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ドーゼについて、を書きながら・・・。
2008 / 04 / 21 ( Mon )
 ドーゼについてしばらく書いてまいりました。当初の予定では、ある程度書いたらドーゼの条件を箇条書きでまとめようと思ったのですが、まだまだ条件を変えると様々にドーゼの管理があるようで、今のところまとめるにはまだ時間が必要な感じがしました。後日また機会を見つけて書いていこうかと思っています。

 こうしてドーゼを考察してみますと、鍼灸治療というのはほんとに繊細なものなんだなと、改めて治療者としても実感しました。

 ドーゼの行き着くところは、患者様一人一人へのまなざしということになるのかなと思います。

 それもそのはずです・・。一人一人、人間の身体は違います。生活環境も異なります。身体が大きな人もいれば、小さな人もいます。仕事の内容、食事の内容など、どれをとっても同じと言うことはありません。
 西洋医学では、不思議と薬の量は一定なことが多いように思います。本来身体が大きければそれだけ薬の量も必要なような気がしますし、逆に身体が小さければ薬の量は少なくてもいいように思います。しかし、そのあたりはかなりアバウトな感じで処方されます。
 一方の東洋医学は、このドーゼという視点からもわかるように、患者様一人一人の状態を診ながら治療の量を変えていきます。経過を診ながら治療をしていきますので、一人一人に会わせた治療ということになります。
 ドーゼということから、東洋医学の治療の本質も見えてくるような気がします。

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ドーゼについて(5) 鍼の速さ
2008 / 04 / 20 ( Sun )
 昨日はツボの深さとドーゼの関係についてお話しをしました。鍼灸治療では、ツボの深さを確認しながら治療を進めていきますが、鍼をするときにおいてもドーゼが関係してきます。鍼をして、鍼を抜く、この動作の中にもドーゼがあります。速く鍼を刺すことを速刺(そくし)といい、速く抜くことを速抜(そくばつ)といいます。この鍼の速さにもドーゼがあります。一般的には、鍼を長く入れておくとドーゼは多く、すぐに抜くとドーゼが短いと考えられています。また、ツボというものは、刺激を加えると直ぐに反応を現します。この反応を確認しながらドーゼを調整していきます。

 明の時代に、高武(こうぶ)と言う医家が著した『鍼灸聚英(しんきゅうじゅうえい)』という古医書があります。これは『黄帝内経』や『難経』、そしてその後に現れた古医書『鍼灸甲乙経』などをも基にしながら、鍼灸治療を簡潔にまとめた書物です。この中にはツボも記されているのですが、ツボの位置、どれくらいツボに鍼をするのか、どれくらいの数のお灸をするのかが簡潔に記されています。
 一方、同じ明代ですが、高武よりも一世代後に活躍した医家に張介賓(ちょうかいひん)と言う人がいます。彼は『類経』『類経図翼』と言った古医書を記しておりますが、この中で、『鍼灸聚英』について“ツボの位置、お灸の数などを簡潔に示しているが、病を治すにはそんな簡単に決められたようにはいきません。身体と病の関係をしっかりと把握しましょう。」と言っています。これは、単なるツボ治療に陥らないための戒めだと思います。
 患者様の身体をしっかりと把握しながら、病を治す。病を治すためには、患者様の身体をしっかりと把握する。鍼灸治療、ドーゼ(刺激量)、ツボ、そして季節など、様々な要素が鍼灸治療には含まれています。
 

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ドーゼについて(4) 鍼の深さ
2008 / 04 / 19 ( Sat )
 鍼灸治療には何よりも的確なドーゼ(刺激量)の管理が必要です。無造作にしているように見える治療には、患者様の状態を診ながら、様々な条件を考慮しながらドーゼの管理をしています。

 その中の一つが、鍼の深さでもあります。鍼の深さはツボにもよります。3ミリくらいしか入らないようなところもありますが、1cm、2cmと深く入るところもあります。この鍼の深さにもまた、ドーゼという刺激量に関わってきます。
 ツボとは不思議なもので、春夏は上の方にあり、秋冬になると下の方に入り込んでいきます。そしてさらに、患者さんの状態によっても深さは変ります。教科書のような初歩のものには、ツボの深さが書かれていることもありますが、臨床で鍼灸治療をしていますと、ツボは動いていることがよくわかり、毎回毎回の治療でツボの深さを見極めなければなりません。
 一般的に、深く刺すとドーゼ(刺激量)が多く、浅いとドーゼは少ないと考えられます。しかし、ここでも多い少ないが問題ではなく、あくまで“的確なドーゼ”が大切になります。治療経過、季節、患者様の状態などを把握しながら、施術者の五感を頼りにドーゼの調整をしていきます。
 

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ドーゼについて(3) 治療時間の長短
2008 / 04 / 18 ( Fri )
 ドーゼは治療者の手によって、患者様の身体の変化を確認しながら決めていきますが、判断の目安がいくつかあります。その目安の一つが、治療時間の長短です。
 一般的に、治療時間が長いとドーゼは多く、短いとドーゼは少ないといえます。先の「ドーゼについて」の中でも述べましたが、“治療時間が長ければ効くのか?”と言いますと、そうではなく、あくまで患者様の身体に合わせた“適切なドーゼ”が効く治療になります。

 それでは的確なドーゼになる治療時間はあるのでしょうか?
 これも東洋医学の原典から考察する必要があります。東洋医学では、各臓器には、一日のうちで一番元気になる時間帯があるとされています。一日の時間を、古医書の時代には、100刻と定めました。今の24時間制に直しますと、一刻は14分24秒(1440分÷100=14.4分)となります。
 このように紐解きますと、一つの気の巡りは14分24秒のサイクルで動いていることが分ります。このような理由から、治療時間は、原則この14分24秒を基準に行われます。基本の治療がこれ以上長くなりますと、ドーゼは多くなるということになります。「ドーゼについて(2)」のところでお話しをしましたように、ドーゼは少な目がいいということから考えますと、治療時間は基準の14分24秒よりも短くてもかまわないことになります。当院では患者様の体調を診ながら治療時間を調整していきますが、治療時間が短い場合は、その短い治療時間の方が的確なドーゼなので“効く”ということを意味します。当院の治療を受けていて、“前回は治療時間が長かったのに、今回は短かった。”(その逆なども)ということがありますが、これには“的確なドーゼ”という意味が込められております。 


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ドーゼについて(2)
2008 / 04 / 17 ( Thu )
 鍼灸学校では「ドーゼ(治療が与える患者様への刺激量)を多くしすぎないように。」と教わりますが、在学中にそれをはっきりと意識することはなかなか出来るものではありません。私自身も、鍼灸学校を卒業し、実践の臨床の中で初めて“ドーゼ”というものを意識するようになりました。ドーゼというものを意識して、まず自分の鍼灸師としての姿勢に気がついたのですが、それは、患者様一人一人の状態を見ていないことからくるのだということです。そして、それを判断する技術や学問がないことに気づき、今の本治法と出会いました。

 ドーゼの難しいことの一例です。
 例えばある患者さんが受け取ることができるドーゼを100%とした場合、その100%をフルに使用したらいいのか?と言いますと、これも難しいもので、100%よりも、少し余力を残した80%くらいがほどよい治療効果が出てくるようです。これは、20%の余力を持たせておくことで、患者様が残っている余力で回復起点を見出すということだと思います。
 このように、治療効果を発揮するために、ドーゼという視点で見ていきますと、鍼灸治療は、“物足りない”くらいの刺激量の方が良いことが多くあります。当院で行っている本治法は、ドーゼを調整しながら行いますが、そのために、治療時間が短くなることもありますし、また、使うツボが少なくなることもあります。

 ドーゼは数値で表れるものではないので、治療経過を見ながら、施術者の手を通して管理していきます。鍼灸治療は、とても微妙なものであることをご理解くださいませ。
 

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ドーゼについて(1)
2008 / 04 / 16 ( Wed )
 鍼灸の用語で、「ドーゼ」というものがあります。これは、“治療全体の刺激量”のことを指します。この刺激量は、明確な数値で表されるものではなく、治療全体の刺激量と、患者様が治療の刺激をどのように受け取ったかという、相互の関係から治療者の手によって判断されます。後日その具体的な基準を書きますが、刺激量の判断には、使ったツボの数(鍼の数)や、治療時間などが含まれ、一般的には例えば治療時間が長いと、“ドーゼ(刺激量)が多い”と言います。

 しかし、このドーゼですが、多ければ多いほど良いかと言いますと、そうではないのが鍼灸治療の難しいところです。鍼灸治療だけではなく、例えば指圧やマッサージなどにもこのドーゼというものがあるのですが、“揉み返し”という現象は、明らかな多すぎるドーゼであ