『ルオーとマティス』(3)
2008 / 04 / 08 ( Tue )
 『ルオーとマティス』展を観に行ったのが、4月6日でしたが、奇しくもこの日は、二人の師匠であるギュスターブ・モローの誕生日です。もちろんその日がモローの誕生日だなんて、全く知りませんでした。今日改めてギュスターブ・モローのことを調べてみたら、たまたま(必然?)、観に行った日が誕生日でした・・・。
 正直モローがどんな人か、どんな作品を遺しているのか、ぱっと思い浮かぶことができませんでした。しかし、ルオーとマティスの師匠であるという思いで観てみますと、その印象もガラッと変ってくるように感じます。今回のこの『ルオーとマティス』にも、モローの作品がいくつか展示されており、なるほど・・・と、思ったものがありました。黒い線で書いた輪郭は、今の漫画のような感じで、動きを感じさせたり靄の中に浮かぶ使徒の姿など、改めて観ますと、モローの作品もググッと迫ってくるものがあります。
 こうしてモローは画家としても一流であったわけですが、画家としてだけではなく、美術学校の先生としても一流であったようです。枠にはめられたものを教えるのではなく、枠にはめようとするのでもなく、一人一人が持っている才能と長所を的確に見出し、伸ばしてあげる、ということができた方だったようです。ルオーにしても、マティスにしても、このモローという偉大な師匠がいたからこそ、自分の作風を追及することに没頭できてのではないでしょうか。

 先日ある雑誌で、「自分を超える弟子がいない者は、師ではない。」という言葉を読みました。チベット僧の間に伝わる諺だそうですが、この言葉の通り、モローは、ルオーとマティスという二人の偉大な画家を弟子に持つことで、まさに“師”足りえるのだと思います。

 鍼灸師として、私にも“師匠”と呼べる先生がいます。師匠はまだまだ遠い存在ですが、いつの日か、師匠を越えたいと思っています。それは、師匠を師匠と呼ぶために、弟子として課せられた大きな大きな山なのです・・・。

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『ルオーとマティス』(2)
2008 / 04 / 07 ( Mon )
 一方のマティスは、形も色もシンプルに、シンプルに纏め上げようとしています。ルオーのように、情念を閉じ込めるというよりは、形や色がもっている軽やかなリズムを取り出しているように感じます。一方が封じ込めであり、一方が抽出。そのベクトルの方向性の違いは、二人の作風の違いなのかもしれないと感じました。
 マティスの絵のシンプルさは、計算されたものではあるのですが、数式や公式といった既に知られているものとは異なり、彼自身が持っている独特な感覚によるもので、いわゆる天才的な勘のようなものではないでしょうか。今回この展覧会に出ていた「ラ・フランス」なども、完成に至るまで、何度も何度も習作を積み重ねていたそうですが、そこまでの発想と積み重ねの感覚こそが、天才的ものなのではないでしょうか。今回、『ジャズ』というシリーズの版画が展示されていましたが、このデザイン性は、今にも通じるポップで新鮮な印象を見るものに与えてくれます。

 マティスとルオー。
 ルオーばかり見ていると、情念に焦げ付きそうになります。そして、ふとマティスの絵に目をやると、ホッと一息つくことができます。同じ空間に、二つの作品群。お互いを見比べながら、ゆっくりと歩を進めてみてはいかがでしょうか。 


【関連記事】
□ 松下電工汐留ミュージアム ルオー・ギャラリー

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『ルオーとマティス』(1)
2008 / 04 / 06 ( Sun )
 本日、一日休みが取れましたので、汐留にあります松下電工汐留ミュージアム・ルオーギャラリーに行ってまいりました。会場でいただいてきたミュージアムの案内を参考にしてみますと、このミュージアムは、松下電工が、社会貢献の一環として収集してきたフランスのジョルジュ・ルオーの作品を鑑賞するためにできたものだそうです。現在ミュージアムが所有しているルオーの作品は、油彩画や版画作品集を含めて約190点あるそうで、その中から常設展を行い、ルオーに関する企画展も開催しているということです。
 今回観てきたのは、開館5周年記念、ルオー没後50年の特別展で、『ルオーとマティス』と題されたものです。マティスと言いますと、色も形もとてもシンプルで、時代を先取りしたようなデザイン的なものが思い浮かびます。そして、ルオーはと言いますと、ごつごつとしたもの、そしてキリスト教的なものをイメージします。作品だけ観てみますと、作風は両極端で、あまり接点を見出すことは出来ないように思います。
 しかし、その作風の違いとは異なり、二人の間にはとても親密な交流があったということです。それもそのはず、二人は、パリの国立美術学校−ギュスターブ・モロー教室で席を同じくしていたのです。ギュスターブ・モローは、二人が在学当初から、二人の才能を喝破し、二人の才能が20世紀の画壇に多くの足跡を遺すことを、すでに預言していたそうです。
ギュスターブ・モロー教室を出た後も、二人の交流は続きました。今回はその交流の証である二人の往復書簡なども展示されています。作風を異にしながらも、お互いを讃え合い、芸術という同じ土俵で友情が続いていきます。

rouaultmatisse.jpg


 ルオーの、特に水彩画を見ていますと、その筆遣いのすさまじさが伝わってきます。一気に描き上げていったであろうすさまじい勢いの中に、画家として、一生完成することなく、とことん登りつめていこうとする気迫を感じます。私はその筆の勢いを見ながら、“この人は生まれ変わっても絵を描き続けるんだろうなぁ・・・”とつくづく感じました。また、こってりと厚く塗り固められた油絵も、その盛り上がりの中に、画家の気迫と、画題への思いを封じ込めているように感じられました。

【関連記事】
□ 松下電工汐留ミュージアム ルオー・ギャラリー


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忌野清志郎 完全復活祭 まとめ
2008 / 03 / 21 ( Fri )
『忌野清志郎 完全復活祭』のライブ・レポートは、当院ブログ最長シリーズとなりました。ところどころ飛んでおりますので、ここでまとめておきたいと思います。

2008年2月10日 於 武道館
『忌野清志郎 完全復活祭』


ライブ前の武道館の様子 1
ライブ前の武道館の様子 2

ライブ開始
* 曲名をクリックすると、その曲のライブレポートが読めます。 
1曲目  JUMP (from『GOD』)
2曲目  涙のプリンセス (from『夢助』)
3曲目  誇り高く生きよう (from『夢助』)
4曲目  ダンス・ミュージックあいつ (from『夢助』)
5曲目  NIGHT AND DAY (from『夢助』)
6曲目  デイ・ドリーム・ビリーバー (from『ザ・タイマーズ』)
7曲目  いい事ばかりはありゃしない (from『PLEASE』)
8曲目  君がぼくを知ってる (from『EPLP』)
9曲目  チャンスは今夜 (from『BLUE』)
10曲目 ぼくの好きな先生 (from『PLEASE初期のRCサクセション』)
11曲目 私立探偵 (from『FEEL SO BAD』)
12曲目 多摩蘭坂 (from『BLUE』)
13曲目 毎日がブランニューデイ (from『夢助』)
14曲目 コーヒーサイフォン (from『ぽえじー(紙ジャケット仕様)』)
15曲目 G・O・D (from『GOD』)
16曲目 スローバラード (from『シングル・マン』)
17曲目 激しい雨 (from『夢助』)
18曲目 ドカドカうるさいR&Rバンド (from『OK』)
19曲目 キモちE (from『ラプソディー』)
20曲目 Baby何もかも (from『KING』)

アンコール
21曲目 よォーこそ (from『RHAPSODY』)
22曲目 ROCK ME BABY (from『GOD』)
23曲目 雨上りの夜空に (from『RHAPSODY』)
24曲目 LIKE A DREAM (from『HAVE MERCY』)

忌野清志郎・完全復活祭後、帰りの道で

* 飛び飛びでお贈りいたしました『忌野清志郎・完全復活祭ライブレポート』。かなり自分の好みで書いてきました。お付き合いいただき誠にありがとうございます。

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忌野清志郎 完全復活祭(20)
2008 / 03 / 20 ( Thu )
 長らく飛び飛びで書いてきました『忌野清志郎 完全復活祭』ライブレポートも、今回がとうとう最終回となりました。ご精読誠にありがとうございました。
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 ところで、読者の方は、もう昨日でライブの曲は全て終わったのでは?どうして今日もライブレポートなのだ?とお思いになったと思います。
 そうなんです、ライブは終わったのですが、ライブ後、武道館から九段下まで行く間に、とても面白く感動的なことがあったのです。
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 武道館を後にして、私は知人と九段下の駅へ向かいました。途中知人と「いや〜〜、ほんとに良かったね〜〜。ほんとに完全に復活してたね〜〜。感動したね〜〜〜。」とお互い話しながらの帰り道。グッズ売り場を横目で見ながらゆるい坂を登り、武道館の門の手前まで来たところ、後ろから酔っ払ったようなファンが、手拍子をしながら「宝くじは買わない」を歌っていた。

“宝くじは買わない〜〜〜だって〜〜〜ぼ〜〜〜くは〜〜〜お金なんか〜〜〜いらないんだ〜〜〜♪ イエー♪”

 私は、「お!いい歌を歌っているなぁ」と、歌声が聴こえる方に振り向きました。するとその歌声の主と目が合ってしまったのですが、私よりも少し年齢は上くらいの、メガネをかけた方でした。私は、一瞬合ってしまった目を、一瞬にして逸らしましたが、心の中では、「いい歌歌ってるなぁ。(たとえ酔っ払っていたとしても)ああいう感じで自由に歌えるって良いよねぇ。」などと思っていました。
 そうこうしているうちに、門のところで人がつっかえています。超満員の武道館の観客が一斉に外に出たものですから、門のところで人が溢れて先に進まなくなってしまったのです。寒い真冬に、まるでおしくら饅頭をしている感じでした。
 と、そんなおしくら饅頭状態の中、さっきの男性が、「宝くじは買わない」を歌い終え、そこにいた人たちに向かって、「ねぇ、どうしてみんな歌わないの〜〜。歌おうよ〜〜〜。」と言い出したのです。そこに居合わせた人たちは、その突拍子もない提案に笑いました。そんな笑いがしている中で、彼は歌い出しました。歌ったのは「スロー・バラード」・・・。
 すると、その声に合わせて、一人、そして二人、そして多くの人が「スロー・バラード」を歌い始めたのです。女性も、男性も、この武道館で、一緒に忌野清志郎の完全復活を祝った仲間として、3時間を越える感動を共有した仲間として、名曲「スロー・バラード」が夜空に響くのでした。

 その後、先導していた男性が歌詞を間違え、それをまた誰かが指摘しました。

“そこ間違ってるぞ!!”
“よし、歌い直し!!”
そして、歌い直されるも、
“違う、また間違ってる!!”
“あれ、そうだっけ? じゃあ2番はお前に任せた!!”
(人々どっと爆笑)
スロー・バラードはそんな感じで途中で流れ、そして、次に先導役の男性が、
“じゃあ、「トランジスタ・ラジオ」を歌いたい人〜〜。 は〜〜い!”
と、自分で自分に「はい」という返事を言う姿に、またどっと爆笑する。
そして、彼は「トランジスタ・ラジオ」の出だしのリフを口で真似る
“テレレレッテッテッテテ〜〜〜”
 正直うまいとは言えず、またもやどっと爆笑が。そしていつしかつまっていた状態が解消され、先導役の彼の声が遠くなり、うたかたの共有は別れ、それぞれの思いへと変っていくのでした。

 忌野清志郎さん、ライブが終わった後、あなたが知らないところでは、あなたの思い出で大きくなった人々が、こうして歌を歌っていましたよ。ありがとうございます。そしてこれからもたくさんの夢を我々に与え続けてください。

“気の合う友達ってたくさんいるのさ 今は気づかないだけ 街ですれ違っただけでわかるようになるよ” 
(RCサクセション「わかってもらえるさ」より)


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忌野清志郎 完全復活祭(19)
2008 / 03 / 19 ( Wed )
 「よぉーこそ」で一杯だったお腹を、腹八分目まで縮め、「雨上りの夜空に」で、アンコールもまだまだ続く予感・・・。この勢いでいつまでも歌ってくれ、清志郎!!
 
 誰もがそう思ったはずです。

 しかし、残念ながらアンコールは終わってしまったのです。
 「トランジスタラジオ」も、「SWEET SOUL MUSIC」も、「つ・き・あ・い・た・い」もないまま・・・。

 でも、気づけばそれもそのはず、完全復活祭は、アンコールも含めてすでに3時間を越えていたのですから・・・、終わりの時間となっても仕方がありません。どんな楽しいライブでも、終わりは必ずやって来ます・・・。

 清志郎の病がニュースで流れたとき、「もうあの声が聴けなくなるのでは」という不安がチラッとよぎりました。そして、そのとき、自分が清志郎から離れていたことを少し後悔し、やっぱり行けるときには行けばよかった・・・と思ったものです。もちろん復活を信じてはいましたが、どこまで回復するのか、いつかまたこの声をじかに聴くことができるのかと、擦り切れそうな声で歌う『夢助』を聴きながら、いろいろと考えていました。
 今、目の前で、忌野清志郎が“完全に”復活しました。あのとき感じた不安はもうどこにもなありません。また清志郎を観にいける。またあの声を聴くことができるのだ・・・。そう思うとこれは終りではなく、始まりなのだと感じたのでした。

 「雨上りの夜空に」を歌い終わった後、バンドは下がっていきました。
 とうとう終わってしまったか・・・・。

 いや、まだもう一回くらいあるかな・・・と思った矢先に、清志郎が再び登場!!!
 
 今度はアコースティックギターを持って、一人で登場です。

 ギブソン独特の少し乾いた感じの音で、始まった曲(今ライブ通算24曲目・アンコール4曲目)は「LIKE A DREAM」(from『HAVE MERCY』)。

“夢のような ことばかり言って ごめんね My Honey そう 信じて”

“暗い暗い夜は いつでも 甘い甘い甘い夢が 温めてくれるさ 君の全てを”

 アコースティックの乾いた弦の音が、温かく、温かく、しずかに、しずかに、沁みこんできました。
 夢は諦めてはいけないと、思っていれば必ず叶うんだと、教えてくれました。

 次の夢へ、次の夢へ、次の夢へ進んで行こう。
 一歩一歩、歩いていこう。
 一歩でいい、今日一日、また一歩。

 
 清志郎、渾身の弾き語り「LIKE A DREAM」が終わった・・・。
 会場が明るくなる。
 ステージ向かって左から、清志郎の息子さんと娘さんが、花束を持って現れました。息子さんはしょうしょう緊張したように立ち、娘さんは手で涙をぬぐっておりました。花束を渡された清志郎は、「家族を出すなよ、家族は」と照れくさそうに、そして嬉しそうに。3人揃って会場へお辞儀をし、家族はステージを後にしました。
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 会場は直ぐに明るくなり、「これで、忌野清志郎・完全復活祭が終了しました・・・。」というアナウンスが流れる。私は茫然とし、放心状態となってしばらく動けませんでした。一緒に行った知人としばらく座って話しをしたのですが、話しをしていると、ぽろぽろと涙が落ちそうになりました。なんででしょう・・・。わかりません・・・。じわじわと、3時間前の「JUMP」で現れてきた光景などが甦り、どうにも感動の波がやってくるのでした。

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